What’s new Lila

籐のゆりかご

2014.09.30
子守唄というと、すやすやと子供が眠るさまを思い浮かべます。
けれども、子守りというと、かつての日本では、「子供を守する乳母のような役割り」を意味して、
彼女たちの悲しい心を歌ったものが多く、これでは子供はすやすやと眠れないなと思ったものです。

さてでは、乳母車というのを知っていますか?
今のものは、ベビーカーと言って、子供を乗せて運ぶもの。
子供たちが、快適に安全に過ごせる工夫がなされています。
けれど、乳母車は、子守りが子供を乗せて運ぶもので、
一台の乳母車に、もう大きくなった姉妹、兄弟を乗せていたのでしょうか、籐で作られたそれは、
さながらショッピングセンターのキャリーのようでした。

昔、祖母のところにお花見に出かけたことがありました。
祖母の家の近くは、川沿いに咲く桜が、それはそれは綺麗で見事で、
昔、護岸工事もされてなかったであろう川は、きっと清涼な風が吹いていて、桜もさぞ気持ちが良かったでしょう。
そのお花見に、祖母はたくさんのお重に入ったお弁当と、私たちが座る為の敷茣蓙と、お茶や牡丹餅や、
あれこれ準備して、にこにこ歩いて来てくれました。

我が家に長女が生まれたとき、主人の姉が、籐製のゆりかごを持ってきてくれました。
姉の子供たちが揺られて過ごしたあと、我が家の長女。
そして、我が家の二人目、長男が生まれたときも、リビングにはこのゆりかごがありました。

ゆりかごは、そっと端を押さえてやると、ゆ~ら、ゆ~らとゆっくり動いて、子供たちに良い眠りを促していました。
ある日、私の父がやってきて、置いてあるゆりかごに座りました。
とたん、ゆりかごは、バリっと音を立てて、崩れてしまいました。

「ああ、くうちゃん。お父さんえらいことしてしもた~。ああ、えらいことや~。」
父の、悲しげで、狼狽した顔と声を今も私は覚えています。

姉の子供と、我が家の子供、たくさんの子供を乗せて、長い年月をゆくうちに、きっと柔くなっていたのだと思います。
そう父に説明して、何度も、何度も慰めました。

80歳を手前にしたとき、遊びに出掛けた公園で、ちょっと目を離した隙に、竹馬に乗って転んだ父。
そんなお茶目な父は、きっと「揺れる」気持ちを味わってみようと、思わず腰かけたのでしょう。

ああ、お父さん、あの頃のことを、花子とアンの中のゆりかごで思い出しました。
娘や息子に子供が出来たら、私もどこかでゆりかごを探してこよう。
籐でできたゆりかごを。
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