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民さんは野菊のようだ
2014.10.06
先日のお誕生日に、遠く離れた娘から、洒落たブーケが届きました。黒いボックスに入れられた花束は、それはそれは綺麗で、垢抜けていて、人のセンスというものは、本当、計り知れないと、ひとしきり感心して、娘の心に感激した一日でした。
花束は、時代を思わせる今風の花と一緒に、白い竜胆がありました。これを見ると、またもや思い出してしまうのが、懐かしくも切ない物語。野菊の墓。
今の人に、野菊の墓って知ってる?と尋ねると、知らないと答える人が多くなりました。主人公の政夫、初恋の民に、「民さんは野菊のようだ」と言います。そして、民さんは、「政夫さんは竜胆のよう」と言う。白い竜胆は、清楚だけれど、どの花にも負けず、凛と上を向いて咲いていました。
そういえば、秋になると、私の子供の頃は、家の前の空き地に、季節の花がてんでに咲いていました。萩、コスモス、竜胆、ススキ。それえらは、風に揺れれば風情があって素敵でしたし、青臭いけれど秋の風に乗って心地良い野趣の香りもしました。
いまは、そこここに、葛葉が生い茂り、木々にもたれかかって生きるさまは、何となく卑しく、葛餅は美味しいけれど、どうも好きにはなれません。