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住所録
2015.09.10
何かの本に、手紙を頂くのは、メールよりやはり嬉しいとありました。
わたしも、自宅の郵便受けに、自分宛の手紙や葉書を見つけると、とても嬉しくなります。メールは、放りぱなしにしておくと、勝手に流れて行くけれど、手紙は捨てられず、昔のものを読み返したり、絵葉書には、その方の雰囲気や、その時の心があるようで、懐かしく思い出すのです。
わたしの住所録はアナログで、これもPCに保管していては、突然壊れて使えなくなったり、それならやはり、これが一番と、父が話していたのを思い出し、それに習っているのです。
住所録は、何年もの歳月を刻んでゆきます。斜線が引かれて、新しい住所に変わった方。ご結婚されて、名前が『い』のところから、『も』のところに移動した方。中にも歴史を刻んでゆきます。
三冊の住所録は、一番下の白いものは父のもの。真ん中がわたし。一番上は母のもの。小学校のとき、わたしの教科書に名前を書いたのが父の仕事だったなら、実家の年賀も父の仕事で、いまは母の年賀は、わたしの仕事になりました。
いまはもう、手直しされることのない父の住所録を、懐かしい父の字を眺めながら手元に保存し、自分の住所録を書き込み、母に頼まれた、母の為の住所録を書き込んでゆきます。
人が歳を取れば、皺を刻み込むように、生きている住所録は、まだまだ皺と年輪を刻んで行くのです。