京都に出掛けました。
四条河原町を車で通り抜ける時、わたしが、ここ、四条やねと話すと、後ろの席に座っていた母が、ぽつりと言いました。
「わたし、修学旅行でここに来て、サンダル買ったわ」
母の修学旅行ですからもうずっとずっと古い昔のこと。

松阪に住んでいた母は、都会の京都でどうしても欲しかったサンダルがあったのでしょう。
「よくお金あったなぁ。あったんやろうね。もう覚えてないわ」と、母。
「古い話しやね！どんなサンダルやったの？」
と、尋ねると、細い紐のようなデザインの。茶色のサンダル、可愛いかったんよ。
と、遠いところを眺めるように、外を見ながら話していました。
「よく履いたわ。気に入って」と、最後に懐かしそうに言いました。

今でもお洒落な母、自分で仕立てた服を着て、わたしと妹似お揃いの服を仕立てて着せた母。中学生の母も、きっとオシャレに敏感な子供だったんだなと、なんだか改めて愛おしくなりました。